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オガワンダー

31 既婚 リーマン アホみたいなタイトル

嘘日記

目を覚ますと、僕は第二突堤に立っていた。

「あらおはよう、ねぼすけさん」。声の方向に目をやると、ハグキ田ナガ子だ。どうやら、立ったまま眠りについていた僕を茶化したようだ。しばく。絶対にしばく。

ハグキ田ナガ子の隣には、ご存じ森鴎内もいた。この森鴎内は、巷では「IQ200ある」「円周率を割り切る」「ハチミツとクローバーを先週全巻読破した」と噂される天才クラスメートだ。

「帰りの切符は、目的地に着いた時点で買っておいた方がいいぞ。」森鴎内は唐突にアドバイスをくれた。実にクレバーかつシャープな男である。「そうよ」と、ハグキ田ナガ子もすかさず同調した。しばく。こいつはしばく。

そして、更に森鴎内の名調子は続く。「風呂で体を洗うときは、まず頭から洗った方が効率がいいぞ。」

これには、僕の脳内に衝撃が走った。「本当だ!」。僕は衝撃を隠すことができなかった。さしずめ、イカの天ぷらである。それほどまでに、カラッと揚がってレモンも利いていた。

それにしてもいったいこの森鴎内、どこまで頭脳が明晰なのだろう。いつしか僕は泣いていた。いや、「哭いて」いたのかもしれない。感涙と、嗚咽と、食欲と、セクハラが止まらない。それほどまでのカルチャーショックであった。

ハグキ田ナガ子に至っては衝撃で失明し、無意識でネットバンキングに不正送金をしていた。それほどまでに森鴎内は聡明であったのだ。

(つづく★)